Connoisseures Club -- Jun. 2003 --

CLYNELISH & BRORA

 

2003年6月度 コニサーズクラブ
テーマ:クライヌリッシュ&ブローラ
2003年6月22日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋記

 今月のお題は、クライネリッシュ、ブローラである。数ある蒸留所のなかでも、モルト好きにはたまらないブランドのひとつであろう。 それも今回は熟成ものぞろいであり、陶酔の5本といえる。 また、クライネリッシュとブローラの違いを感じ取るのもおもしろいであろう。 会の進行は例によってブラインドテイスティングで行われ、否が応でもテイスティングの感度は上昇するのである。

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1.ダグラスレイン ブローラ 29y 51%

2.SMWS(ソサエティ) 60.13(ブローラ) 25y 56%

3.SMWS 29.23(クライヌリッシュ) 19y 56.6%

4.ダン・ビーガン クライヌリッシュ 19y 57.5%

5.ディスティラリィーコレクション クライヌリッシュ 30y 58%

さて、今回の5本を紹介しよう。

***[NO.1] ブローラ ダグラスラング プラチナセレクション 1972 29年 51%   ***

(香り)トップノートは甘い上品なシェリー香、シェリー香はごく軽いものであり、短期間のシェリー樽フィニッシュかもしれない。そのあとすぐにピート香が立ち、さらに海くさい香りもただよってくる。この香りから、海岸線から遠くない蒸留所であることがうかがい知れる。 ?最初上品でかろやかな印象から、だんだんと重い香りに変化してくる。
ピートに隠れてはいるが熟成香はのっており、いきなり最初の一杯目から熟成物か、といわせるに十分な一本である。

(味) フルーティー、ピート、酸味の三拍子である。先月、この三拍子はブローラの個性と言い切り、はずしてしまったが (先月の三拍子のモルトはアードベッグであった)今回こそこのモルトはブローラといっておこう。ピートは強くなく、アイラものによくあるヨードをともなったものではない。

 

***[NO.2]SMWS(ソサエティー)60.13 ブローラ 1978 24年 56%   ***

(香り) トップノートは暗い印象で、キャラメルの香りがしてくる。その後、突然のように花の香りが文字通り開いてくる。 さらに軽くシェリー香が立ってくるが時間とともに消え入ってしまう。

(味) 軽くフルーティーさを味わえるが、トータルでの印象はドライでピリピリとしており、甘味はすくない。ハイランドモルトの特徴といえるのかもしれない。ソサエティー試飲会の時、私自身、評価の高いモルトであったが、改めて今日ここで飲んでみると意外にそれほどでもなく、最後に種明かしされ意外な一本であった。

 

***[NO.3]SMWS(ソサエティー)26.23 クライネリッシュ1983 19年 56.6%   ***

(香り)上品で繊細なシェリー香を感じる。ただしシェリー香を感じたのは私だけであり、クライネリッシュが一般的にバーボン樽で 熟成していることを考えると、熟成香がシェリー香と思わせたのかもしれない。 その後シェリー香は消えてしまい、花の香りが後を追うように現れてくる。全体的な香りの印象はミディアムボディの熟成モルトといったところか。

(味) フルーティーでドライである。かすかな酸味と、非常に軽いピートを感じる。上品、かつ繊細な熟成モルトから、 クライネリッシュとは思わなかったのが本音である。クライネリッシュとしては、優しすぎるのである。

 

***[NO.4] クライネリッシュ ダンビーガン 1983 19年 57.5%   ***

(香り)酸味をともなったキャラメルのような香りである。その後、砂糖水を連想させる甘い香りがしてくる。ほんとは砂糖水ににおいなどないのだが。奥にはフルーティーさがただようが、NO.3とはうって変わって重くしずんだ香りの印象だ。

(味) 軽いピートを感じる。やはりこのモルトもドライであり酸味は少ない。軽くバーボン樽の個性もある。バーボン樽の個性を明確に文字に できないところが残念ではある。

 

***[NO.5] クライネリッシュ スコッチモルト販売 1972 30年 58%   ***

(香り)まずたってくるのは、NO.3と共通の甘い香りとかすかなシェリー香である。上品かつ繊細な熟成香を感じ、かなり上質なモルトであることを意識する。

(味) 熟成されたフルーツ、ただし甘くはなくドライである、奥には軽くピートなのであろうかいがいがとした印象がある。熟成したモルトによくある、 まったりとした重みはない。いろいろ熟成モルトを飲んできたモルト飲みが、最後に行き着くこととなる、かれた熟成モルトといった感じであろうか。 このモルトもクライネリッシュというには非常に難しい一本であった。

 


コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>ブローラ、ブローラ、ブローラ 投稿者/山崎白秋 投稿日/2003年07月03日(木)22時52分

**ブローラ ダグラスラング プラチナセレクション 30年 49.7%**

これは、ソサエティー試飲会の際、りょりょうさんの御厚意で試飲させていただいたものである。ソサエティーの熟成モルトのなかにあってもなお印象に深い一本であった。

(香り) 同じダグラスラング プラチナセレクションでも、こうもちがうものなのか。6月のコニサーズクラブでテイスティングした29年と比べると、熟成香が2倍である。熟成からくるエステル香もすばらしく、ボディもビッグである。 29年をテイスティングしたとき、ブローラはほどほどの熟成ものがBESTだなんてかってに思い描いてしまったが、その思いはたった1週間でくずれてしまった。

(味) 口に含んですぐ立ってくるエステル、熟成。酸味と甘味のバランスもすばらしい。もちろんフルーツとピートもでてきてブローラであることを主張する。 スペイサイドの熟成モルトにくらべると、シャープさピートの個性がプラスされた感じで、これ一本でモルトの個性の大部分が表現されているようだ。

▼投稿者/ りょりょう 投稿日/2003年07月04日(金)14時16分

ブローラのコメントありがとうございます。
わたしもこのブローラは好きですが、もう手元には残っていません。
最後の一杯を有意義に使うことができて、良かったです。