<シェリー樽かバーボン樽か?> 04.03.06 惹樽

最近は様々な樽(ポート、ラム、ワイン、カルヴァドス、新樽 etc.)をモルトウイスキーの熟成やフィニッシュに使うことが多くなっているが、やはり基本となるのはシェリー樽とバーボン樽(ややサイズの大きいホグスヘッドに組み直すことが多い)だろう。

シングルモルトが日本市場に出回り始めたころは、シェリー樽熟成が高級であるというイメージが強かったように思う。これにはマッカランの貢献度が高かったのではないだろうか。その後ラフロイグをはじめとするアイラモルトが人気を博すようになり、モルト飲みがピーティーなもの(多くはバーボン樽熟成)を好む傾向は現在も続いているように思う。

やはり、最初は甘さを感じて飲みやすいシェリー樽熟成ものを美味しく思った人が多いのではないだろうか?これはワインの赤と白の関係に似ていて面白い。ワインも最初は飲みやすいドイツあたりの白から入り、徐々に赤の美味しさに目覚めていくというのが多くの人が通る道だろう。モルトの場合もシェリー樽の分かりやすさから入って、徐々に複雑な味わいを求めるようになるというわけだ。

しかし周りを見渡すとモルトを飲み続けている人は、徐々にシェリー樽ものから離れていく傾向が強いようだ。マニアの好みは似てくるようで、モルト会メンバーに人気があるのは、ピートが強すぎないハイランドあたりのバーボン樽熟成ものとなっている。若いシェリー樽ものやピートが強すぎるものは単純な味わいになりやすく、モルト本来の味わいを感じさせてくれるものに惹かれるようになった結果であろう。

もちろん熟成年数も関係してくるので、私自身は12年以下の若いモルトはピートを効かせたバーボン樽、20年ぐらいまではピートが適度に抑えられたバーボン樽、それ以上の長熟ものはシェリー樽(ファーストフィルはこってりになってしまうので、セカンドフィル以上)が好みです(当然、例外はあります)。