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<ドイツ人のビール離れ> 03.07.26 惹樽

私がドイツへ旅行したのは随分前の話だが、確かに本場で飲むビールのおいしさは格別で鮮烈な印象が残っている。モルトの飲み過ぎで自分の味覚が変わってしまったのかもしれないが、最近の日本のビールは甘く感じるばかりで、この季節になっても飲みたいと思わなくなってしまった。でもあのおいしさを味わえるのならば、もう一度飲んでみたいと思っている。

ところが今そのドイツでのビールの売り上げが、かなり減っているのだという。使い捨ての容器にデポジットを上乗せする制度が導入されたのが直接の原因だということで、いかにも環境大国ドイツらしい話ではある。おそらく日本でも近い将来同じような制度が導入されることになると思うが、リサイクル率上昇に実効がある制度となるように十分検討されることを期待したい。ポイ捨ての缶が減ることにもなると思うので導入すべきだとは思うが、ドイツのように買った店でしか返金されないということになると、ポイ捨てが減らない可能性もあるだろう。

しかし、売り上げ減少の裏にはもっと根本的な問題もあるようだ。フランスでもワインの売り上げが減っているということだし、もしかすると世界的なアルコール離れ現象みたいなことが起きているのかもしれない。日本の統計がどうなっているのかは調べていないが、昨年の道交法改正もあったので、おそらく減少傾向にあるのではないかと思う。私が行く店でもとにかく客が減っていると嘆かれることが多いのだ。不景気の影響も大きいと思うが飲酒の習慣そのものが変わってきているようにも思える。

宴会の席で酒を飲まない人の数は確実に増えているし、昔のように無茶飲みする人はほとんどいなくなった。たちの悪い酔っぱらいも減っているように思われるのはいいことだが、「上手に酔える人」が少なくなっているのはちょっと寂しい。酒を飲んでも決して本音を語らない人もやはり増えているように思われるのは世の中全体が自閉的になっていることと無関係ではないだろう。またアルコール中毒が増えているように聞くが、これも同じことが別の形で現れた結果であろう。

酒の飲み方を後輩に伝えていく仕組みもほとんどなくなりつつあるのではないだろうか?酒を上手に楽しむ人がもっと増えて欲しい。そうすれば社会の雰囲気も変わってくるように思う。

と、こうした文章を書いてみて、楽しく酒を飲める仲間を持っている自分の幸せを再認識したのでした。