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<ブラインドテイスティングの面白さ> 03.06.27 惹樽

これまでコニサーズクラブはラフロイグ40年が出てきた特別企画のとき以外はすべて5杯のモルトをブラインドテイスティングするスタイルで行われてきた。別に蒸留所や銘柄を当てることが目的ではなく、先入観を持たずにテイスティングするということが非常に面白いと分かったためにこのスタイルが定着したものである。

実際にやって後からボトルを見ると、このモルト(蒸留所)にこんな香りを感じたのかとか、こんな味わいがあったのかというように新しい発見が必ず何かしらあるのだ。新しい魅力を発見しての嬉しい驚きもあるが、いいイメージを持っていたのが崩れてしまうこともある。

ラベルを見て飲む場合には、本で読んだり人から聞いたりした文章化された「情報」がまずインプットされるため、どうしても先入観が入ってきてしまう。4年近くも続けているので自分の感覚を優先する訓練はできているつもりだがボトルを見てしまうと感じ方が変わってしまうのだ。

多分それはブラインド以外の場合にはまず「記号」を探しに行ってしまうということではないだろうか。マッカランならシェリー、ラフロイグならピートというように。我々のあいだで「センサー」という言葉がよく出てくるのだが(モルティーセンサー、ピートセンサー等)その時々でセンサーの調子が違うので、同じモルトでも2回ブラインドテイスティングすると全く違う感想になってしまうことも珍しくない。

もちろんそれは未熟さの証でもあろうが、自分はアマチュアなので、同時にテイスティングするモルトの組み合わせ、温度、グラス、体調などに影響される感覚の変化そのものを楽しむというのも「あり」だと思う。手探りで進むスリルがあればこそ、ここまで続けてこられたようにも思えるのだ。

プロのブレンダーは当然「絶対音感」ならぬ「絶対嗅覚」みたいなものを持っているのであろうが、それは一握りの天才の世界であり、少なくとも私はそこへ近づきたいとは考えていないのである。