Connoisseures Club -- Jul. 2004 -- STRATHISLA
テイスティングノート 山崎 白秋記 今月のお題は、「ストラスアイラ」である。 スペイサイドのビッグネームながら、たぶん例会では始めての登場ではないだろうか。 ボトラーズもそれほど出回っているとは言い難く、実力のわりに人気のない蒸留所のひとつかもしれない。
ただしこの蒸留所の1960年代のモルトはすばらしい出来のものが多く、私の好きな蒸留所のひとつである。 今回の5本、スペイサイドにしてはドライなものもあり、ハイランドモルトかと最後まで思い、蒸留所を当てることは出来なかった。
さて、本題の5本を紹介しよう。 ***[NO.1] シグナトリー VINTAGE 1989 13年 43% *** (香り)上品なトップノート、ライトかつドライではあるが、香りの数は多い。なし系のフルーツ香。奥には熟成由来のエステル香がある。全体的にソフトな香りの印象。 その後、酸味を感じさせる香りがしてくる、さらに時がたてば「おしろい」や石鹸香も感じられるようになる、ただしボウモアやエドラダワーとは別種のものである。 (味)ピリっと口ではじける。味もやはりドライ。ただし味の数はやや少なく、もうすこし熟成がほしいところである。
(香り) 上品なトップノート、NO.1に良く似た香りで、NO.1の香りを濃くした印象である。ミディアムボディ。 やさしい桃や梨のかおり、熟成由来のエステル香。フルーティーではあるがややドライである。 (味)アルコール度数のわりにピリピリする、スパイシー。しばらくすると、奥にウッディーな樽香が感じられるようになる。控えめな熟成感は「長熟でもシェリー樽はどうもね」と敬遠される方にはお勧めのモルトといえる。 スペイサイドモルトとしては、ドライかつスパイシーな一本である。
(香り)すばらしくウッディーな熟成香につつまれる、さらにエステル香が幸せな気分に拍車をかける。 かすかなシェリー香、ビッグボディーではあるがやさしい印象。しばらくするとバニラ香が強く立ってくる。 シェリー樽、バーボン樽のいいところだけの個性が饗宴をしている。 (味) ふくみ香がすばらしくウッディー。古い、あるいは湿ったセラーを感じさせる。 渋くウエットな印象がある。古臭い樽香は60年代のモルトによくある味である。 フィニッシュはいつまでもウッディーで長い。 昔のモルトはよかった、といわれるモルト飲みのかたに、是非飲んでいただきたい一本である。 ***[NO.4] ケイデンヘッド 1989-2002 12年 54.9% *** (香り)こげたゴムの香り、典型的なファーストフィルのシェリー樽の個性。さらにまったりとして醤油の香りも感じられる。 奥にはモルティーな香りも感じられ、やや熟成が浅いことを感じさせる。しばらくするとなまぐさい香りが強く出てくる、オゾン香もかすかに感じられる。 (味)口にふくんでもファーストフィルシェリー固有のこげたゴムの香り。生臭く、しけた印象。バーボン樽の表記があるが明らかにシェリー樽熟成の個性と感じる。 これは好き嫌いがはっきり分かれる一本といえる。
***[NO.5] ゴードン アンド マクファイル 1972-1997 25年 62.6% *** (香り)トップノートはエステル香を感じるが、いままでかいだことのない種類のものである。 香りの立ちは遅く、香りの数が少ない感じだ。しばらくすると、「たくあん」の香り、あるいはヌカの香りが感じられる。 しばらくするとブドウや、梨の香りがでてくる。 (味) まず酸味が感じられるが、全体的にはまったりとして重い印象である。やや甘さを感じる。 たくさん文字にしたいのではあるが、文字にできない。言い換えると、いままでのモルトとちょっとずつ違いのある個性がたくさんつまったモルトなのであろうか。
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★<タイトル>ストラスアイラ 投稿者/惹樽(管理人) 投稿日/2004年07月26日(月)9時31分 昨夜のモルト会のテーマは「ストラスアイラ」。先月に続いて、まさか5本揃うとはという蒸留所のものでした。 最初のシグナトリーは最初に感じた上品な香りがすぐに飛んでしまい、優しい味の次に苦みを感じたぐらいで、あまり特徴が感じられず。 MISSION は、1.の香りと味わいを強くした感じ、フルーツ系が感じられたので、この時点ではハイランドモルトかなと思いました。 ダンカンテイラーは、リフィルシェリー樽熟成と思われる上品なモルト。バランスがとれた味わいで、私を含むメンバーの評価はこれが一番でした(このボトルの持ち主、harazaki さんが、これが出てきた時点でテーマが分かって結構ヒントを出してくれたのですが、結局は最後まで分からず終いでした)。 ケイデンは最初にゴム臭を感じて、これは「シェリー樽熟成だ」とみんなの意見が一致したけれど、ボトルには「バーボンバレル」の表記。バーボン樽熟成でこんな香りと味(こちらもゴム)がするものは飲んだことがないのですが... 最後のG&Mは、強いアルコールの刺激に加え樹脂系の味わいも強烈で、非常に個性的なモルトでした。 誰からも正解が出なかったので、テーマが分からないままオフィシャルボトル12年が登場。シェリー系の、特徴が乏しいモルトで(よく言われるリンゴの香りを感じられず)とうとうギブアップ。 私自身は、ストラスアイラを飲んだ記憶がほとんどなく、今回出てきたボトルも初めて飲むものばかりだったので、「ふ〜ん」と言ったところでしたが、もう一人のボトル提供者、Kさんはかなりショックだったかも。
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