Connoisseures Club -- Feb. 2004 --

HIGHLAND PARK

2004年2月度 コニサーズクラブ
テーマ:ハイランドパーク
2004年2月22日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋 記

 今月のお題は、北の巨人「ハイランドパーク」である。今回のテイスティングで、ますます蒸留所の個性というものがわからなくなってきた、これが本音である。

 一杯目をノージングして、SMWSのミステリーボトルと極めて近い印象をもった、それで、蒸留所の地区としてはハイランドに近いスペイサイド、あるいはスペイサイドに近いハイランドと感じた。

 もちろんクライヌリッシュではなく、グレンモーレンジに近い印象であった、それほどやさしく、繊細なものであった。こんなやさしく、優等生的あじわいの北の巨人があるんだな、というのがメンバーのあいだでの共通認識ではなかったのではないだろうか。

 そんなことで、会が終盤になっても蒸留所の正解はでなかったのである。

スコッチ文化研究所名古屋支部第6回例会

1.キングスバリー(ハンドライティング) 26年 51.5%

2.マキロップチョイス 24年 53.0%

3.ムーンインポート(アニマル) 26年 53.2%

4.ブラッカダー(ロウカスク) 20年 57.6%

5.ソサエティ 4.70 10年 58.9%

さて、今回の5本を紹介しよう。

***[NO.1]  キングスバリー ハンドライティング  26年     51.5%    ***

(香り)トップノートはもも系のフルーツ、きわめて上品かつ繊細。リフィルオークの長熟か。ただしボディーはそれほど厚くはない。
 しだいに香りは開いてきてキャラメル香の熟成香を感じる。フルーティーでありながらややドライ。

(味)フルーティー。ややピリピリとする。奥に「いがいが」あるいは軽いピートを感じるがほんのわずかである。


***[NO.2] マキロップチョイス   1976    24年     53% ***

(香り)まずNO.1とおなじ「もも系」のフルーツを感じる。その後の香りもほぼ同じようにきわめて上品かつ繊細な印象。
 しばらくすると、NO.1以上の熟成とボディーを感じるようになる。キャラメル系の熟成香と、繊細なフルーツが心地よい。
 やや酸味があり、NO.1より硬質に仕上がっている。

(味) やはり、フルーティー、ややいがいがを感じる。軽いピートなのであろうか。
 加水するとグレンリベットのようなフルーティーさも感じられる。

 かれた長熟モルトといった印象で、ベテランのモルト飲み御用達といったところだ。

 

***[NO.3]  ムーンインポート  ザ アニマル  1975-2001 26年 53.2% ***

(香り)香りの立ちが遅い、そのためライトに感じられる。これも前の2本ときわめてよく似た香りでフルーティーであり、上品かつ繊細である。  よくこれだけ同じものを集められたものである。さわやかな印象はボトルの「アニマル」のイメージとはぜんぜん違うものである。 リフィルオークの印象、キャラメル系の熟成香。

(味) フルーティー。やや酸味を感じ硬質な印象。バランスがよく逆にコメントがしづらいといえる。

 

***[NO.4]  ブラッカダー   ローカスク  1982    20年   57.6% ***

(香り)トップノートはやはりもも系のフルーツ、上品ではあるが、奥にややモルティな香りも感じられる。
 時間とともに、やや暗い感じとなり、醤油のかおり、あるいは臭みを感じさせる香りとなる。やや、アルコールの刺激があり。

(味)ピリピリとしたアルコールの強さを感じる。 やはり味の方も香りと同系等の臭みを感じる。

 若さを感じることから、後に熟成年数が20年であることを明かされ熟成が遅いモルトといった印象であった。

 

***[NO.5] ソサエティ    4.70      10年     58.9%  ***

(香り)これも、もも系のフルーツを感じた、今回のテーマは同一蒸留所であることは間違いない。
 ややこげた香りがある、アルコールの刺激も強い。やさしい麦芽の香りもあり、もうすこし熟成がほしい。これもNO.4と同じようなくさみがある。

(味)アルコールを強く感じる、フルーティ、かつモルティー。シャープな感じがスペイサイドモルトではないような印象をあたえる。

 

 今回は同系の香り、味で、とくにNO.1〜3はほんとに良く似た印象でコメントにこまってしまった5本であった。
 ハイランドパークとしての個性にはなんらかのシェリー樽が必要不可欠なのであろうか。



コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>ハイランドパーク? 投稿者/惹樽(管理人) 投稿日/2004年02月23日(月)9時34分

昨夜のモルト会はお疲れ様でした。

ハイランドパークが出てくる可能性が高いことを知っていた私でさえ、途中まで何かが分からず、回答の前にオフィシャル12年が出てきても皆さんが混乱するばかりという波乱の会になりましたね。

最初に出てきたキングスバリー・ハンドライティングはピークをちょっと過ぎてしまった感がしなくもない、優しくフローラルなもので、これに惑わされてしまいましたね。2本目のマキロップチョイスは熟成感も高く大健闘、3本目のアニマルは自分のボトルでちょっとプラスティックを思わせる癖を覚えていたので、ここでようやくハイランドパークかなと思え出しました。

ブラッカダー・ロウカスクは年数のわりにはモルティで、最後のソサエティ10年が若さのわりに出来がいいので、よけいそれが際だってしまった感じでした。

ブラインドテイスティングの面白さで、最初からハイランドパークというビッグネームが分かっていたら決して聞かれなかったと思われる皆さんのコメントが聞け、興味津々でした。

▼投稿者/ harazaki 投稿日/2004年02月23日(月)12時38分

シェリーカスクが含まれていたら解りやすかったのかもしれませんね。 2本目(マキッロプチョイス)と3本目(ムーン アニマル)の共通した甘さとコクがクライヌリッシュ(ブローラ)、スプリングバンク、モーレッジを連想し、5本共通の「北ハイランド」の特徴とモーレッジのカスクの集めにくさ、スプリングバンクのボトルの高価なことでクライヌリッシュかなと3本目のテイスティング後から勝手に確定してしまっていました。

それにしてもマキロップチョイスの76ハイランドパーク24年カスク、コストパフォーマンスに優れてますね。熟成の極みの時にボトリングしたのではないでしょうか。手元に1本あるけど、もう1本欲しくなってきました。東京葛西の酒販店に残ってないかな。

5本目のテイスティング後にオフィシャルが比較のために試飲したところ、こんなに甘かったかな、特徴がないなというのが第一印象。タリスカー(昨年の8月?の課題)の時もそうだったが、ハイランドパークのヘザーの香り・ピーティなイメージ(本などの情報、自分の体験に基づかない)があり、ブラインドテイスティングのおもしろさを実感したところです。他の方のコメントにもあったのですが、オフィシャルボトルがデザイン変更になり味も変わった?とのこと。機会があれば太陽の写真がラベルに描かれる前のボトルと現行ボトルとクリーム色トールボトルの3種類を同時にテイスティングしてみたいものです。

シェリーカスクがメインでボトリングされている蒸留所(マッカラン、ロセス、ドロナック等)は、バーボンカスクで数種類テイスティングしたほうが蒸留所の個性(味のアイデンティティ)を習得しやすい気がします。オフィシャルのドロナック、オークカスクは結構よい印象が残っています。ロセス、リンクウッド、モートラック等スペサイドのバーボンカスクをそれぞれ複数本集めるのは至難の業になるのでしょうね。

5本とも同じ蒸留所やあるテーマで5本を集めることは相当苦労されていることかと思います。ボトラースものがない(少ない)蒸留所(ダウウィニー、モーレッジ、フィディク、オーバン等)はなかなか取り上げられない(普段でもテイスティングできない)ので、1回に2つの蒸留所(2、3本づつ)を取り上げるのも手かなと思っています。皆さん如何でしょうか?新参者の私が申し上げることではないと思うのですが、5周年を過ぎまだ取り上げていない蒸留所があるかと思います。その蒸留所の個性を知ることもよいことでは。

▼投稿者/ 惹樽(管理人) 投稿日/2004年02月23日(月)19時14分

>シェリーカスクが含まれていたら解りやすかったのかもしれませんね。

あえてオークばかりにしたのは当然分かりにくくするねらいだったのですが、結果から見るとハイランドパークはシェリーの方が点数が高くなる可能性がありそうですね。

>1回に2つの蒸留所(2、3本づつ)を取り上げるのも手かなと思っています。

2つの蒸留所の間に関連性のあるような形でやってみたいと以前から考えていました。

>新参者の私が申し上げることではないと思うのですが、

いえいえ、すでに同じ土俵に上がっていただいています。少し話はずれますが、私の知らないところで仕掛けてもらえると嬉しいなと思っています。