Connoisseures Club -- Oct. 2003 --

ILAY OF NO NAME

2003年10月度 コニサーズクラブ
テーマ:名無しのアイラ
2003年10月26日 Stand Bar

テイスティングノート  山崎 白秋 記

 今月のお題は、名無しのアイラである。今回の5本、蒸留所が大きく明記されていないモルトが集められた。

ブランドをあえて明かさない理由はさだかではないが、正体不明のモルトをさらにブラインドテイストするという、前代未聞のシークレットテイスティングとなったのである。

NO.2,NO.4はまったく蒸留所を明らかにする手立てがなく、ラガブリンなのか、ラフロイグなのか、そんな論議が会の最後まで続いたのである。

スコッチ文化研究所名古屋支部第2回例会

※ボトル名か写真をクリックするとテイスティングノートのページへジャンプ

1.スコティッシュシークレット アイラ19年 49%

2.ブラッカダー スモーキンアイラ 55%

3.ファーランイル 1991 12年 56.7%

4.アイリーク・カスク 58%

5.スコッチモルト販売 クラシック・オブ・アイラ 58%

さて、今回の5本を紹介しよう。

***[NO.1]  スコティシュ シークレット Islay  19年   49%    ***

(香り)グラスに鼻を近づけると、ふっと立つ華やかな香り、その後甘い香りが追いかけてくる。さらにさわやかなフルーティーさがひろがる。
かすかにキャラメル香があり熟成を感じる、ライトボディではあるがかなりの熟成年数を経ていると予感させる。 ほどよい酸味があり甘味とのバランスを取っている。

(味)ややドライなフルーツの味。スペイサイドモルトのフルーツとは違うようである。 穀物からくる甘味は十分に感じる。酸味が少なく甘味が気になってくる。 フィニッシュは、ブナハーブンによくある、線香くさい後味である。

裏ラベルを読んでみると1881年の設立とあったので、ブルックラディが正解であろう。


***[NO.2] スモーキンアイラ  ブラッカダー  オーク   55% ***

(香り)キャラメル香がまず立ち、その後どろくさい、こってりとした風味をかんじる。それに軽いピートを伴って、重い印象である。
やや柑橘系のツンとした酸味を感じ、ピートの軽いラフロイグといった香り。それにしてはちょっと重いのであるが 。

(味) ピートが強く感じられる、硬い酸味も感じられる。しだいに若さと砂糖水の甘味を感じるようになる。やや単純な味といえよう。

蒸留所名の正解はなく、メンバーの間で、ラフロイグ説とラガブリン説にわかれた。

 

***[NO.3]   ファーランイル  リザーブ オブ アイラ  バーボン 1991-2003 56.7% ***

(香り)香りの立ちがきわめて遅い、こんなに立ちの遅いモルトは初めてである。
しばらくしてからわずかにビターな香りが感じられるようになる。かすかなシェリー、こげたゴムが香ってくるが、生臭さもかんじられる。

(味) 酸味と甘味がバランスしているが、よくできたといった印象ではない。アルコール臭は少ないがぴりぴり口をさす。
ピートを感じるがアイラの標準より軽いものである。

ラガブリンの表記あり。

 

***[NO.4]  アイリーク  カスク  ピーティ   58% ***

(香り)軽いピート香と、軽いシェリー香を感じる。熟成も中程度あり、酸味、ミルキーさを備え至れり尽せり、ではあるが、実際はこれが渾然一体となりくどさを感じるのである。TPOを変えるとまた別の印象となるかもしれない 。

(味)シャープな印象、中程度のピート。からみも十分かんじる。どうも文字にするといいことづくめとなってしまう。もういちどじっくりと味わってみたいモルトである。

これも蒸留所名の正解はなく、ラフロイグ説とラガブリン説にわかれたが、ラベルのイラストに描かれている蒸留所のキルンがふたつでラガブリンに似ているとか、さらにイラストの全体的な印象はボウモアのものだとか、いろんな説が飛び交っていた。

 

***[NO.5] クラシック オブ アイラ  スコッチモルト販売  オーク  58%  ***

(香り)熟成感がかんじられる、ただし中程度の熟成のモルトに、長期熟成をバッティングしているといった感じであろうか。
これも他のモルト同様 重い印象がつきまとう。今日の私の体調が重いせいなのかもしれない。

(味)5本目にしてついに強いピートのモルトがだされた。しぶみも強く、アイラモルトの個性が強い。 かるくシェリーと思われる風味も感じられる。

ラガブリンの表記。



コニサーズクラブBBSより

★<タイトル>名なしのアイラ 投稿者/惹樽(管理人) 投稿日/2003年10月27日(月)11時24分

今月のモルト会、ラベルに蒸留所名が書かれていないアイラ5本はいかがでしたでしょうか?

1.スコティッシュシークレット アイラ19年 49%
2.スモーキンアイラ 55% ブラッカダー
3.ファーランイル 1991 12年 56.7%
4.アイリーク・カスク 58%
5.クラシック・オブ・アイラ 58% スコッチモルト販売

3.と5.はラガヴーリンであることが公表されていますが、他ははっきりしません。

1.はこの中では全く異質で私も買ってから初めて飲んだのですが、とても意外でした。とても軽くフルーティーなアイラということで、多分一番西のイニシャルBではないかと思いましたが、ラベルに1881年に造られた蒸留所と書いてあり、ブルイックラディーで一件落着。ほとんどピートを感じないので「アイラ」の名前だけで買った人からはブーイングものかも。

問題はスモーキンとアイリークで、ラフロイグ派とラガヴーリン派に分かれて喧々囂々、それぞれのオフィシャルのカスク等と比較する騒ぎとなりましたね(目論見通り(^_^)

私は、味に独特の甘さを感じたのでどちらも前者ではないかと思ったのですが、ラガヴーリンの2本と香りが共通しているという意見や、ラベルに書いてある蒸留所の絵にどちらもキルンが2つあるので後者だろうとか、もしかするとヴァッテドじゃないかなどという話まで出てきました。

酒販店のHP等でも、どちらの説も出ているようなので何が正解なのかは分かりませんが、それもまた良しかと思います。

個人的な好みの話をすれば、スコティッシュシークレットは結構気に入りました。今年発売された新しいオフィシャルボトルも気になるところです。あとコストパフォーマンスでアイリークの大健闘が印象に残りました。

それにしてもアイラの比較的若いカスクばかり5本はさすがに堪えます。今朝になっても舌がピートでざらざらしている...

▼投稿者/ harazaki 投稿日/2003年10月27日(月)17時55分

みなさん、昨日はお疲れさまでした。
いつもながらテーマを考えられるお二人には頭が下がります。

名前を伏せたアイラで今回出品されなかったものを思いつくまま挙げると

シグナトリー:ヴィンテージアイラ96、97、5年、5年カスク
フィラガン12年、17年、21年
クーパーズチョイス:ラガンミル
インヴァーゴートン:ドルーシャン10年アイラ
エイコーン:キルブライト(キルブリッジ?)、リバーラガン
イアンマックロード:as we get it
スコマ:シングルアイラ 等々

最近、若いラガヴァーリンの名前を伏せたボトルが多い気がします。

なお、近い内に、木股さんにボトルリストを提出すべく、自宅のボトルリストを作成中です。

▼投稿者/ 惹樽(管理人) 投稿日/2003年10月27日(月)19時46分

リバーラガン(実はボウモアだけどあまりそれらしくない)も手元にあるので事前にスコティッシュシークレットを飲んでいれば、これを入れておいたのになあと思いました。